もらい事故だと思っていたのに、保険会社から伝えられた過失割合が10対0ではなかった——このとき気になるのは「修理代は誰がいくら払うのか」ではないでしょうか。過失割合は、相手からいくら支払われるかに直結します。この記事では、過失割合が10対0でないときに修理費がどう分かれるのか、自分の車両保険を使うかどうかをどう判断するのか、そして実際の修理はどう進むのかを、中野区江原町の板金塗装専門店・フジバンキン保険修理センターが整理して解説します。個別の判断は契約内容によりますので、最終的にはご加入の保険会社にご確認ください。
結論|相手から出るのは「修理費のうち相手の過失分」だけ
先に答えをまとめます。自分にも過失があるときは、修理費の全額が相手側から支払われるわけではありません。
日本損害保険協会「損害保険Q&A」問43には、自分にも過失が発生している場合は過失分を乗じた額が相手から支払われるとして、過失割合が8対2(相手対自分)で車の時価額が100万円のケースでは、相手の対物賠償責任保険から80万円が支払われるという例が示されています。
つまり、残りの部分をどうするかが検討事項になります。選択肢は大きく3つです。
- 不足分は自己負担して修理する
- 自分の車両保険を使って不足分をまかなう(契約内容による)
- 修理費が時価額を超える場合は、修理せず買い替えを検討する
どれを選ぶかは、契約している保険の内容と、車の状態・使い方で変わります。以下で順に見ていきます。
仕組み|過失割合はどう決まり、金額にどう響くのか
過失割合とは何か
同Q&Aの問28では、過失割合は「加害者側、被害者側の双方に責任がある場合に、それぞれが負担すべき損害賠償責任の割合」と説明されています。被害者にも過失がある場合はその割合だけ損害賠償額が差し引かれ(過失相殺)、根拠として民法第722条第2項が挙げられています。交通事故は事故形態がある程度定型化しており、過去の判例に照らして事故の状況などを勘案のうえ決定される、とも書かれています。
ここで押さえておきたいのは、過失割合は当事者の印象や主張の強さで決まるものではないということです。「自分は止まっていたのに」と感じる状況でも、事故の形態によっては過失がゼロにならないことがあります。
過失割合ごとに、修理費の負担がどう変わるか
修理費が60万円かかるケースで整理すると、次のようになります(いずれも車の時価額が修理費を上回っている前提の、考え方を示すための例です)。
| 過失割合(相手:自分) | 相手側から支払われる考え方 | 残る部分 |
|---|---|---|
| 10:0 | 修理費の全額(60万円)が対象 | 原則なし |
| 8:2 | 修理費の8割(48万円)が対象 | 12万円 |
| 5:5 | 修理費の5割(30万円)が対象 | 30万円 |
金額の水準よりも、「自分の過失分は相手からは出てこない」という構造を押さえておくことが大切です。
もうひとつの上限=車の時価額
過失割合とは別に、相手に請求できる金額には車の時価額という上限があります(同Q&A問43)。この前提は協定・仮協定とは?保険を使った修理で金額が決まる仕組みで、修理費が時価額を上回ったときの判断は経済的全損と言われたら?修理と買い替えを分ける判断材料で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。本記事では、過失割合による分かれ方に絞って進めます。
ケース別|自分の車両保険を使うかどうかの判断材料
不足分を自分の車両保険でまかなうかどうかは、次の3点を並べて考えると整理できます。
- 免責金額(自己負担額)はいくらか……不足分が免責金額より小さければ、使っても手元に残る金額が変わらないことがあります。考え方は免責金額より修理費が少ないときは?で解説しています。
- 翌年以降の保険料がどうなるか……車両保険を使うと等級が下がる場合があり、事故の種類によって扱いが異なります。
- 車をあと何年使うか……年式が古い車ほど時価額が下がり、修理費が上限に届きやすくなります。
この3つを並べたうえで、不足分の金額と、使ったときの負担増を比べるのが基本的な考え方です。判断に必要な材料のうち「修理にいくらかかるか」は、実車を見ないと出せません。先に見積りを取ってから決めても遅くはありません。
相手とのやり取りは誰が行うのか
同Q&Aの問31には、加害者から保険会社に申し出があり、相手の同意があれば、話し合いから事故の解決までを保険会社が行う仕組みがあると説明されています。ただし相手(加害者)からの賠償金の受取りに関しては、この仕組みを使用することができないとも明記されています。
自分に過失がある事故では、自分の側にも賠償責任が生じるため、ご加入の保険会社が対応する場面があります。一方、自分にまったく過失がない場合は事情が変わります。どこまでを保険会社が担うのかは契約内容によって異なりますので、事故の連絡をする段階で確認しておくと安心です。過失割合や示談の進め方そのものについては、保険会社や専門家にご相談ください。
実務ではどう進むのか|修理工場から見た流れ
当店にも「過失割合が10対0にならなかったが、どこまで直せるのか」というご相談はよくいただきます。実務の流れはおおむね次のとおりです。
- まず現車を確認して見積りを作る……損傷の範囲と修理方法を確定させないと、支払いの話も進みません。
- 保険会社と修理内容・金額のやり取りを行う……画像と見積りをやり取りして、修理範囲と金額の合意(協定)に進みます。
- 合意した内容で修理し、引き渡す……不足分の扱い(自己負担にするか、車両保険を使うか)は、この前段で決めておきます。
フジバンキン保険修理センターは損保の指定工場ではない独立した立場で、元請けとして保険会社と直接やり取りしてきました。保険金の請求そのものは契約者であるお客様が行うものですが、見積りの作成や画像の提出といったやり取りは当店で代行できます。修理を進める全体の流れはご相談から修理・お引き渡しまでの流れに、保険を使った修理の考え方は保険修理についてにまとめています。対応できる修理の範囲はサービス内容をご覧ください。
よくある質問
過失割合に納得できないときはどうすればよいですか
まずはご加入の保険会社に、どの事故形態を前提に判断されたのかを確認してください。過失割合は過去の判例に照らして決まるものとされていますので、状況の説明とドライブレコーダーなどの記録が判断材料になります。個別の争いについては保険会社や専門家にご相談ください。
過失割合が決まる前に修理を始められますか
修理を始める時期は、支払いの見通しをどこまで確認できているかによります。先に着手すると、後から支払われる金額との差を自己負担でまかなう形になる可能性があります。急いで直したい事情がある場合は、その旨も含めてご相談ください。
修理すると車の価値が下がった分は請求できますか
同Q&Aの問43では「格落ち損害」(修理しても原状回復ができず車両の価格や評価が下がる場合の減少損害)に触れつつ、現在は修理技術の発達により格落ち損害が発生するケースは少なくなっていると説明されています。取り扱いは個別の事案によりますので、保険会社にご確認ください。
物損事故で慰謝料は請求できますか
同Q&Aには、判例上、物損事故の場合に精神的損害について慰謝料請求が認められた例はほとんどないと記載されています。
※本記事の保険制度に関する記述は、日本損害保険協会「損害保険Q&A」(くるまの保険・交通事故対応等)問28・問31・問43に基づいています。実際の取り扱いはご契約内容によって異なります。
保険が使えるか、まずは無料でご相談ください
中野区江原町の板金塗装専門店・フジバンキン保険修理センター。創業60年超・年間500台超。保険会社とのやり取りも状況とご希望に応じて代行します。無理な勧誘はいたしません。
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